GIMER-STICK

エポキシのブログ

シンナー

シンナーについてのはなし。
シンナーは英語で“Thinner”。Thinは「薄い」とか「細い」とかの意味。「人がやせている」という意味もある。
Thinnerは辞書を引くと 「(ペンキなどの)薄め液」「シンナー」などと出ています。「シンナー」というとすっかり日本語になってますよね。

シンナーというとひとつの物質と思っている人もいるかもしれないけど、一般にシンナーはいろいろな物質の混合物です。
あるラッカーシンナーの場合の例です。つぎのものの混合物です。
イソプロピルアルコール、キシレン、トルエン、メタノール、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、 メチルエチルケトン、エチルベンゼン
こんなにたくさんのものが混ざっているのです。

それぞれの物質はなにが違うかって?
揮発性とか溶解性とか極性とかいろんな性質が違うんです。
難しいはなしになるので、興味あるひとは本などで調べてください。
それをうまい具合に混合して、塗料に適したシンナーを作っているわけです。

塗料にもたくさんの種類があるけれど、シンナーも多くの種類があります。
ラッカー系塗料にはラッカーシンナーを、ポリウレタン塗料にはポリウレタンシンナーを、エポキシにはエポキシシンナーを、アクリル塗料にはアクリルシンナーを使わなければなりません。
だいたい塗料には、それ専用のシンナー(うすめ液)が用意されているので基本的にはそれを使いましょう。それがベストです。
専用シンナーは、塗料の性能を最大に発揮できるように作られているのですから。
シンナーの選択を誤ると、その塗料の性能を発揮できません。そればかりか塗装を失敗してやり直すはめになることもあるでしょう。
シンナーは軽く考えがちですけど塗装を成功させるためには重要なことですよ。

本日の教訓。

「シンナーは専用のものを使うべし」


うちにあるシンナーのたぐい
ほんの一部分です。
商品もあるけど、自分の趣味用のものもおおい

シンナーいろいろ (左上)ポリウレタンシンナー
(中上)ポリウレタンシンナー(トルエンやキシレンを含まない、人体に害の少ないタイプのもの。左のものはトルエンなどを含んだタイプ。同じポリウレタンシンナーでも組成が異なる)
(左下)ラッカーシンナー
(中下)アセトン
右側の小さい4リットル缶は、「ペイントうすめ液」と「ラッカーうすめ液」。これらはホームセンターでも入手できるもの。
油絵具の溶き油 これらは油絵具の溶き油。これらも一種のシンナーといえるでしょう。揮発の速いものや遅いものなどいろいろな種類がある。
シンナーいろいろ これらは模型用の塗料のシンナー。模型用の塗料もいろいろあって、主にラッカー系、エナメル系、水性に分けられます。当然シンナーもそれぞれ専用のものを使います。エアブラシ用のシンナーもあります。
ちなみに、模型用塗料の分類の呼び名は分かりやすくするための便宜的なものです。 模型用のラッカー系塗料は、一般のラッカー塗料とは異なります。普通のラッカーシンナー(例えば上の写真のラッカーシンナー)でうすめて塗装するとプラモデルのプラスチック(スチレン樹脂)を溶かしてしまいます。
また、塗装の世界でエナメル塗料といえば不透明の塗料のことをさします。模型用のエナメル系塗料は 油性の塗料です。うすめ液は石油のような臭いがします。模型用の水性塗料はもう少し詳しく言うと水性アクリル樹脂塗料です。水でも薄められますが基本的には専用のシンナーを使います。このシンナーはアルコールのような臭いがします。

もう少しシンナーのはなししましょうか。
「リターダー」って意味分かりますか。
“retarder”と書きます。意味は、「遅らせるもの(人)、遅延剤」などです。
塗料のはなしでリターダーというと、乾燥を遅らせるもの、乾きを遅くするもの、いわゆる遅延剤のことです。
通常のシンナーよりも乾燥の遅いリターダーシンナーというものもあります。揮発の遅い溶剤の割合が大きくなっています。
塗料の乾燥を遅くしたい場合に、リターダーシンナーあるいは通常のシンナーにリターダーを混ぜて使います。
塗料の乾燥を遅くしたい場合とは、例えば、夏場の気温が高いときに刷毛塗りするとき、乾燥が速すぎると刷毛目が残って塗りづらいですよね。乾燥を遅くすると塗料が平らに広がってきれいに仕上がります。また、スプレー塗装のときに、乾燥が速すぎると塗料が被塗装面に届く前に乾燥してうまく塗装できないこともあります。
また、溶剤が急激に揮発すると塗膜から気化熱が奪われて温度が下がります。そうすると塗膜表面に水滴が凝結し て表面が白くなることがあります。これを白化(はっか)といいます。かぶりとかブラッシングともいいます。 (エポキシの表面に起こるアミンブラッシングとは違います)
こういうときにリターダーシンナーを使うわけです。

プロの塗装屋さんは用途に応じてシンナーの組成を変えたり、自分で調合したりすることもあります。そのようなことは経験を積んだプロにできること。素人にはムリなはなしです。

やはり基本は「塗料に合った専用シンナー」をつかうことです。