GIMER-STICK

エポキシのブログ

カーボンロッドの先が折れたので修理した

折れた状態

愛用の釣り竿の先が折れてしまいました。
ショックですーーー

磯ざおの1.5号。先は細くて、直径1ミリくらいしかありません。
安物ですがいちおうカーボン素材のものです。

うちには、エポキシもカーボンファイバーもある!
なんとか直せそうなので自分で修理することにしました。


(1)修理をはじめる
ガイドの直径を測る

先端ガイド(メッキした金属部分)のすぐ際で折れてしまいました。
ガイドの中には折れたロッドが残っています。
まず、この残ったロッドを取り除かなければなりません。
ピンバイスでグリグリして取り除きました。なにしろ穴が小さいので結構大変でした。
穴の直径は、1mmくらい。
右の写真は修理とは関係ないが、ガイドの直径を測ったところ。
みなさんノギスの読み方は知ってるかな??
写真がボケてて見づらいけど、1.45mmです。

最初の考えとしては、ガイドの中に残ったロッドを取り除き、折れた部分を差し込めば簡単に修理できるだろうと思っていましたが、甘かった!
折れた部分はかなり太くてそのままガイドに差し込むことができないのだ!
少しならロッドを削って差し込むこともできたかもしれないがそれも無理そうだ。というのは、ロッドが中空のため、削って細くすると肉厚が薄くなり強度不足になるのが明らかだったからだ。もしそうしたら、また同じところですぐに折れてしまうだろう 。

さて、どうするか・・・
いろいろ考えたすえ、ロッド内に補強を入れ、カーボンファイバーを使って延長し、ガイドに接合するということにしました。

(2)補強材を入れる
ロッドに補強材を入れる

まずはロッドに補強材を入れます。
ロッドは中空になっています。穴径に合った適当な補強材を捜します。
太さ0.6mmくらいのステンレスの針金がちょうどよさそうなのでこれを使うことにしました。
針金に シルバーチップエポキシ を塗ってロッドに差し込みます。 何度か繰り返して、針金とロッドのすきまがエポキシでしっかり満たされるようにします。
これで1日くらいおいてひとまず硬化させます。

(3)エポキシとカーボンファイバーで補強する
補強材を入れたところ

針金とロッドがしっかり接着できたら長さを適当なところで切ります。
それから、ロッドの先の部分を先細りになるように斜めにすこし削ってやります。
これは、エポキシを盛って延長するときに接着する面積を増やし強くするためです。

上に写っている黒い繊維がカーボンファイバー(炭素繊維)。
カーボンクロスの端からほつれたものを使っています。
ちなみに、写っている束で3000本の繊維からなっています。この束を縦横に編んだものがカーボンファイバークロスになります。
カーボンファイバー1本の直径は5~8ミクロンという細さです。髪の毛の直径は80ミクロンくらいなので、その10分の1くらいです。

カーボンファイバーを乗せる

エポキシを塗り、適当な長さに切ったカーボンファイバーをピンセットで乗せていきます。
ロッドを回しながら針金の周囲を均等に包むようにします。
エポキシとカーボンファイバーがよくなじむようにときどき押さえながらやるとよいでしょう。
あとで成形するのでそれほどきれいにする必要はありません。すこし多めくらいに盛ります。
これで1日くらいおいてひとまず硬化させます。

硬化した部分

硬化した部分です。
ちょっとエポキシが垂れていますが問題ありません。
やすりで成形してきます。細いので慎重に。
あるていど丸くなってきたら、サンドペーパーで包むようにしてロッドを回しながら研磨するときれいに丸くなります。
ガイドがきちっとはまるよう先細りになるように成形します。ときどきガイドをはめてチェックしながら成形します。

(4)仕上げ
成形したところ

いちおう成形が終わったところです。

成形したところ

ガイドの奥まできちっとはまります。
さいごに、エポキシを塗ってガイドとロッドを接着します。

完成

いちおう完成したところです。
エポキシがはみ出ていたらサンドペーパーで研磨します。
研磨したところは白くなるので最後にクリヤーのウレタンなどを塗るとよいでしょう。
そうするとつやが出ます。

ほとんど元通りに直すことができました。

<使用した材料>
シルバーチップエポキシ・・・ごく少量
カーボンファイバー・・・ごく少量
・ステンレスの針金・・・ごく少量
いずれの材料もごく少量。金額にしてもほとんどタダ同然です。

さいごに・・
今回のような小さな作業ではエポキシの使用量がきわめて少ないです。1回の使用量は1mlにもなりません。
このようなごく少量のエポキシを正確に計量するのは大変難しいものがあります。
ちなみに今回使用したシルバーチップエポキシの混合比は体積比で1:2なんですが、ごく少量ではちょっとした加減で混合比率が1:2から大きくずれてしまう危険性があります。混合比が適正でないと硬化不良を起こしてしまいます。最悪の場合は硬化しないということもあり得ます。
ですから、エポキシの少量の混合はできるだけ避けた方がよいでしょう。
何か大きい仕事のときに、ついでにこういった小さい仕事をやるのがいいですね。それか、小さい仕事をある程度ためておいて、エポキシを使うときはまとめてやるというのが失敗も少なくなり効率的でしょう。